のような創造の拠点へ進化させたいと考えています。その思いから、私たちは「赤坂エンタテインメント・シティ」構想を進めています。
この構想の本質は、不動産開発ではありません。未来を創る人々が出会い、挑戦し、共創するための舞台をつくることです。
AIがどれほど進化しても、創造の原点は変わりません。AIは、知識を整理し、情報を共有することはできます。しかし、人と人が偶然出会い、思いもよらない会話から未知の発想が生まれ、その場で未来が動き始める-そうした創造の瞬間をAIが生み出すことはできません。
イノベーションは、偶然の出会いから生まれます。だから私は、「場」に投資します。
私が思い描くAKASAKAには、多様な人々が集います。世界を目指すクリエイター。映像、音楽、アニメ、ゲームなど、次代の文化を担う才能。AIやテクノロジーに挑戦するスタートアップ。教育に新しい価値を生み出そうとする研究者や企業。そして、世界中のエンタテインメント企業。異なる才能が交わり、日常の中から新しい挑戦が生まれる。そのような街を赤坂につくりたいのです。
目指しているのは、次々と新しいコンテンツが生まれ続ける街です。世界中のクリエイターが、「次の挑戦をするなら、AKASAKAへ行こう」。そう思える場所。若い才能が、「ここなら世界へ羽ばたける」。
そう感じられる場所。新しい企業が、「ここなら、ともに未来を創る仲間と出会える」。そう期待できる場所。そのような創造のエコシステムを、この街に育てていきたいと考えています。
そして、この街から生まれるものは、エンタテインメントだけではありません。教育も、テクノロジーも、地域との共創も、新しいビジネスも、さまざまな挑戦が交わり、新しい文化となって育っていく。
私は、この構想を単なる都市開発とは考えていません。日本から世界へ、新しい価値を発信し続ける「創造のプラットフォーム」を築く挑戦だと考えています。
人は、志を同じくする仲間と出会うことで、自分一人では決して思い描けなかった未来を描くことができるようになります。異なる経験や価値観が交わることで、未知の発想が生まれ、挑戦が始まり、やがて世界を動かすイノベーションへと育っていきます。創造とは、才能だけで生まれるものではありません。人と人が出会い、互いに刺激し合い、信頼を育みながら、未来の価値を共創するところから始まるものです。
だから私は、この街に投資します。建物に投資しているのではありません。人に投資しています。出会いに投資しています。創造に投資しています。未来に投資しています。ここから生まれる新しい才能。ここから育つ新しいIP。ここから始まる新しい文化。その一つひとつが、日本を豊かにし、世界へと広がっていく。その未来を信じています。未来は人と人が出会う場所から生まれる。私はその場所 AKASAKAをつくりたいのです。
ここまで、AI革命という時代認識、未来への決断、三つの成長戦略、資本市場との約束、そしてAKASAKAという創造の舞台についてお話ししてきました。しかし、最後にお伝えしたいことがあります。
私は、どれほど優れた戦略を描こうとも、いかに大胆な投資を行っても、未来を創るのは、いつの時代も人だと信じています。企業の競争力は、設備でも、資本でも、AIでもありません。人です。
私は、TBSグループで働く8,000人を超える仲間こそが、このグループの最大の財産だと考えています。一人ひとりが、それぞれの持ち場で知恵を絞り、挑戦し、人の心を動かそうと努力している。その積み重ねが、今日のTBSグループをつくってきました。そして、その力こそが、未来を切り拓く原動力になると確信しています。
今年の入社式で、私は一つの演出を用意しました。先輩社員の歓迎の合唱に、やがて新入社員も加わり、会場にいる全員が一つになって歌う。予定にはなかった、その瞬間です。私は、その「想定外」の出来事に、一つの願いを託しました。
社会に出れば、計画どおりに進む仕事の方が少ない。思いがけない出来事に直面したとき、人は試されます。立ち止まるのか。諦めるのか。
それとも、知恵を出し合い、仲間と力を合わせ、新しい価値へと変えていくのか。私は、後者を選ぶ人であってほしい。そして、その挑戦を楽しめる人であってほしい。それが、私の考える「幸福な挑戦」です。
私は、社員に完璧を求めているわけではありません。求めているのは、挑戦する勇気です。挑戦には失敗が伴います。しかし、挑戦しなければ、新しい価値は決して生まれません。
私は、「失敗しない会社」を目指したいのではありません。「挑戦し続ける会社」をつくりたいのです。失敗を責めるのではなく、挑戦を讃える風土。互いの成功を喜び、努力を認め、次の挑戦を応援し合う文化。その文化こそが、TBSグループ最大の競争力であり、未来を切り拓く力になると信じています。
「幸福」とは、誰かから与えられるものではないと思っています。
誰かの役に立った時、仲間と困難を乗り越えた時、昨日の自分を少しだけ超えられたと感じた時、人は、自らの挑戦の中に幸福を見いだし 09