ざまな日本のIPについて真剣に向き合ってくださっていることに、心から感謝しています。
中谷 ジョシュさんは日本のIPのどこにそれほどの可能性を感じ、興味を持ってくださっているのでしょうか。
グロード 素晴らしい質問ですね。私たちは、ストーリーの「背景にあるもの」に注目しています。世界中には多種多様な漫画、アニメ、映画、テレビ番組、本が存在します。しかし、そのストーリーの裏側に深く踏み込み、そこに込められた「感情(エモーション)」を理解した時こそ、私たちは最も興奮するのです。「普遍的なテーマ」が存在するからです。
日本の膨大なIPとクリエイティブ経済が持つエネルギーを見渡すと、そこには非常に深く豊かなストーリー・テリングの伝統があります。だからこそ、日本の作品は世界中で人々の共感を呼ぶのだと思います。
中谷 私たちのことを「文化の翻訳者」と表現してくださっていますが、「文化の翻訳者」の大切さ、重要性とは何でしょう。
グロード 文化的な接点における翻訳者であるということは、実は極めて繊細で難しい役割なのです。私たちは常に「IPのクリエイター」を最大限にリスペクトしなければなりません。作品の本質を損なうことなく世界中で通用する作品にするために「どこまで変更を加えるべきか」のバランス調整は非常にデリケートです。私たちはやはり「アウトサイダー」ですから、その文化の境界線を越えるために必要な要素を翻訳し、商業的かつクリエイティブな視点の両方から私たちに伝えてくれるTBSの能力は、このパートナーシップにおいて絶対に不可欠で重要な要素なのです。
私たちは、その作品を生み出したクリエイターこそが、私たちが逆立ちしても敵わないほど作品のことを深く知っているという前提に立っています。だからこそ、私たちはクリエイターの皆さんを私たちのオフィスにお招きし、時には一緒に寝食を忘れるほど親密かつ密接な距離感でプロジェクトに取り組みます。それによって素晴らしい結果を生み出せるからです。そこにTBSが加わってくださったことで、私たちとクリエイターの間の「架け橋」となってくれる心強い仲間を得ました。IPをどのように表現すべきか、世界へ持っていくために「越えてよい境界線」と「守るべき一線」はどこかという相互理解を、TBSが示してくれます。
TBSの皆さんに入っていただき、映画の表面的なビジュアルだけでなく、その「背景にあるストーリー」を深く理解してもらう。その上で、日本のIPをベースに私たちがハリウッドでつくった映画を、 TBSの力を借りて日本の観客の心に深く響くような形で再び日本へと「文化的に翻訳」していく。そう考えると、非常にクールで美しい循環の例だと思いませんか。
中谷 TBSグループのクリエイターたちも、Legendaryと組めることにとてもワクワクしています。私たちがグローバルレベルへと進化し、世界的なヒットを生み出すにはどうすれば良いと思いますか。
グロード 最適なクリエイターを見つけること、そして彼らが創り出したものを深く読み込み、世界共通の普遍的なテーマを見つけ出すことです。その上で、その素材をより広い世界の人々に伝わるストーリーへと「翻訳」していくのです。言うのは簡単でも、実践するのはとてつもなく難しいことですが。例えば「DUNE/デューン 砂の惑星」における感情の拠り所は何かと言えば、愛し合いながらも結ばれることのかなわない少年と少女の物語です。どこか「ロミオとジュリエット」に似ていますよね。そうした本質を見つけ出し、キャラクターが誰であり、彼らがどんな旅をするのかを深く理解す 24