限りある経営資源を、どこに集中させるのか。この決断こそが経営です。だからこそ、未来を見据え、どこに投資し、どこに挑戦するのかを明確にしなければなりません。
私は、TBSグループの持続的な成長を支える柱として、三つの成長エンジンに経営資源を集中します。
一見すると、それぞれ異なる事業のように映るかもしれません。しかし、すべて一本の線でつながっています。世界へ挑戦すること。世界中の人々に愛されるIPを育てること。そして、未来を担う人を育てること。そのすべては、「人の心を動かし、人と社会を豊かにする」という、TBSグループの使命から生まれた一つの戦略です。
日本市場だけを前提とした経営には限界があると考えています。人口減少が進む日本で持続的な成長を実現するには、世界を市場とする経営へ転換しなければなりません。しかし、それは日本で制作したコンテンツを海外へ販売することだけを意味するものではありません。世界で本当に存在感を発揮するためには、世界のトップクリエイターとともに作品を創り、世界中のファンに長く愛されるIPを育てる仕組みが必要です。
その第一歩として、米国Legendary Entertainmentと戦略的パートナーシップを結びました。さらに、韓国CJ ENMとの協業、THE SEVENを通じた国際共同制作、世界配信を前提とした新たな作品づくりなど、挑戦は着実に広がっています。
NETFLIXをはじめとするグローバルプラットフォームを通じて、日本発のコンテンツが190を超える国と地域へ届けられる時代になりました。日本の作品を世界へ届けるだけではありません。世界が求めるIPを、日本から生み出していく。その挑戦を、本格的に始めています。
社長就任以来、最も強い意思を持って取り組んできた分野の一つが、アニメです。アニメは世界中の人々が国境や世代を越えて共有し、何十年にもわたって価値を生み続ける文化であり、IPそのものだと考えています。
今年、ロサンゼルスで開催された「Anime Expo」を訪れ、その熱気を目の当たりにしました。そこには、日本のアニメを愛する世界中のファンが集い、作品を通じて国境を越えてつながる姿がありました。その光景は、日本が世界に誇る文化の可能性を改めて確信させてくれました。だから私は、この分野への投資を迷いません。
SAND Bを設立し、グループ内外のクリエイターや制作スタジオとの連携を進めています。新たにゼノトゥーンを迎えたことも、その挑戦の一環です。目指しているのは、一つのヒット作品ではありません。世界中で愛されるIPを、継続的に生み出す仕組みを築くことです。作品をつくる企業ではなく、IPを創り続ける企業へ。そこに、 TBSグループの競争力を築いていきます。
三つ目の柱が、エデュテインメントです。私は、この事業を新規事業とは考えていません。日本の未来への投資です。AIが進化する時代だからこそ、「知識を覚える力」以上に、「感じる力「」考える力「」創造する力」が重要になります。その力を育てる教育こそ、これからの社会に求められます。
TBSグループは、人を夢中にさせるコンテンツを創り続けてきました。その力を教育へ生かす。それが私たちのエデュテインメントです。すでに、文部科学省の採択事業「AI for School」をはじめ、日本を代表するNTTとの協業、やる気スイッチグループとの連携など、挑戦は理念ではなく実践の段階へ入りました。私たちが目指しているのは、新しい教育サービスを提供することではありません。子どもたちが、「学ぶことは楽しい」と心から感じられる社会を実現することです。その挑戦は、日本の未来を育てる挑戦でもあります。
黒柳徹子さんとの特別対談「あそび!学び!×CREATIVE KIDS CAMP」で、未来を創る子どもたちと 07