会長・社外取締役鼎談 コーポレート・ガバナンス
八木 一方で、報道としての役割もさらに強化して欲しいですね。放送事業の比率は中計では相対的に下げていくとしていますが、重要性ということで言えば、報道機関としての役割を、引き続きしっかりと果たしていって欲しいと思います。
佐々木 確かにそうですね。私たちの根っこの根っこにあるのは報道機関であるという部分ですし、テレビ、メディアとして多くの人に奉仕するということは常々考えています。
私たちの使命は、国民の命と財産を守ることです。今、戦争が起きて、混乱に次ぐ混乱の中、民主主義や人道主義が大事だとか、帝国主義は良くないのだとかいう価値観が壊れているところもあります。
TBSは拡張戦略としての事業も推進しますが、その根っこにある報道機関として行動することが大事だとますます強く感じます。
佐々木 現在約8,000人がいるTBSグループで最大の課題の一つである「女性の働き方」について牧野さんはどうご覧になりますか。TBS ホールディングス・TBSテレビでの女性ライン長の割合は20%を超え、前よりポイントアップしてきています。
牧野 「 まだまだだな」と思います。海外のメディア企業では、管理職の約30~50%、イギリスのITVではITVスタジオの57%が女性ですから、そのくらいを目指して欲しいです。
これは数字の問題ではなく、女性が働きやすい会社をつくるということです。そのことが男性、特に若い男性が働きやすい会社の実現にもつながりますから、女性の管理職数や比率が上がることは重要です。今までのやり方のままでは到底50%には届きません。どこかで抜本的に、枠を外した考え方で、どうしたらもっと女性が働きやすいかを考える必要があります。
一番のネックは拘束時間とハラスメント。大切なのは心理的安全性です。「あなたは今どうしたいの?」と上司がきちんと聞き、その人に合った働き方をカスタマイズすれば、6カ月程度で少しずつ変わってきます。女性は特に、仕事もプライベートも大事にしないといけない、でもそんな自分は必要とされない、価値が無いのだ、と思いがちです。
そんな風に思わずに働ける環境をつくり、今の状態のまま活躍して良いのだと認め、働き方を考え、整えることが大切です。
佐々木 「カスタマイズ」とおっしゃいましたが、個別にシミュレーションして、一人ひとりのスタイルをつくるということが大事なのですね。それは私たちはやっていませんでした。
牧野 男性も同じだと思います。育休を取る人も体調を崩す人も介護をする人もいます。多様性という面から考えると、上司が部下との 1on1の際に、今どんな状況なのかを聞いて寄り添うことが必要です。
佐々木 女性の管理職が約20%になる一方で、役員の比率では既に 30%が女性、という現状をどうご覧になりますか。
牧野 役員の女性のみなさんは優秀な方々ですし、頑張っているところが現場の人達に見えるのは良いことです。私自身が2、30代の頃、女性のロールモデルが見当たらず、先が見えずに会社を辞めたことがあります。ですから、取締役や役員に女性が増えるのはすごく良いと思います。
佐々木 女性が増えたことで取締役会は変わりましたか。
八木 もちろん女性の取締役が増えたことで多様性が活かされているということはあると思いますが、ダイバーシティというのは女性という観点だけで考えてはいけないと思います。
例えば社外役員の割合が高まる中で私が体験しているのは、自分達がマイノリティだと思わなくて良い環境になっているということです。私は報道もエンタテインメントも素人ですが、何か感じると意見を言ってみようか、と思える。多様性のある側の人達がマイノリティではなく、3割、4割と増えてきている意味がそこにあります。同質ではない人達がそれだけの数、存在することに意味がありますし、そのメリットをTBSはしっかりつかんでいると感じます。2割の女性マネージャーの意見に、他の8割の人達が本気で耳を傾けようと思えば、改革は進んでいくと思います。一つのステップとして良い方向にいっていると思いますよ。
67