株式会社TBSホールディングス執行役員CSO 井上 波
新たにCSO(最高サステナビリティ責任者)に就任した井上波です。
昨年12月、前任のCSOである井田元常務が、重大なコンプライアンス違反に関わる事案により退任いたしました。ステークホルダーの皆さまに多大なるご心配をおかけしたことを、心よりお詫びいたします。社会の皆さまから信頼される企業であるために、後任として改めて襟を正し、持続可能な未来への取り組みを誠実に牽引してまいります。
私は入社以来約27年間にわたって報道記者として歩んできました。
ワシントン特派員、北京支局長を含め様々な経験をしてきましたが、その中で私が最も情熱を注いだのは、貧困・差別・虐待など、さまざまな事情で社会からはじき出されたり、生きにくさを感じている人々の声を拾い、届けることでした。
2018年に報道を離れることになり、自分の経験を活かして何が出来るかと考えた時、伝えることの一歩先、「社会課題を解決へと動かす仕組み作り」に関わりたいと考え、SDGs推進に取り組むようになりました。2020年に新設された「SDGs企画部」の部長になるとともに SDGsキャンペーン「地球を笑顔にするWEEK」を立ち上げ、23年に「サステナビリティ創造センター」の初代センター長、2024年からサステナビリティ担当の役員を務めています。
「地球を笑顔にするWEEK」は、TBSがメディア・コンテンツ企業としての特性を活かしながら、産官学民のさまざまな取り組みを紹介し、アクションにつなげることで、一緒に社会を良くしていきましょうと呼びかけるものです。今後特に力を入れていきたいのが、小学生から大学生が参加するコミュニティ「地球を笑顔にするACTION」。地球の将来を担っていく若者たちの課題感に寄り添い、イベントなど多様な機会を作って、彼らの挑戦を後押ししていきたいと考えています。
サステナビリティ経営はいまや企業にとって長期的な価値向上に欠かせません。数字で成果を求められる項目も少なくありませんが、それが実態の伴わない「キレイごと」で終わっては意味がありません。
例えば「女性管理職比率」。単純に上げるだけでなく、女性(だけでなくすべての性別の人)が、ライフイベントや個人の価値観に合わせて多様なキャリアの選択肢を持つことができて、自分らしく働き続けられる環境をつくっていくことが重要です。
地球環境に関しても同じです。温室効果ガス排出量の削減は、非化石証書の購入などお金をかければできることですが、メディアとして環境について発信している私たちは一歩先を行きたいと考えます。その一環として去年設立したのが、自ら再生可能エネルギーを生み出す会社「TBS Green Transformation(TBS GX)」です。今年6月には、福島県矢吹町の営農型太陽光(ソーラーシェアリング)で発電した電力が、コンテンツ制作の拠点である緑山スタジオへ供給され始めました。ソーラーパネルで日陰になった牧草地で牛たちが草を食むこの施設は、「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の観点からも注目されています。こうした取り組みを、今後「#感動発電」と銘打って推進する計画で、その第一弾として、ドラマ「VIVANT」とのコラボレーションも実現しました。
再エネを開発しながら地域を支え、そこから生まれる「ストーリー」をコンテンツとして社会に発信し、共感の輪を広げる。これこそが、メディア企業ならではの環境アクションの形だと考えています。
昨年12月にTBSホールディングスとグループ基幹6社の全社員を対象に実施した「人権デュー・ディリジェンス(人権DD)アンケート」では、長時間労働のリスクや外部スタッフがハラスメントの被害に遭いやすいといった課題が浮き彫りになりました。コンテンツやサービスを皆さまに心から楽しみ、信頼していただくために、TBSに関わるすべての仲間が年齢や性別、立場に関わらず、互いをリスペクトし、フェアな関係で「幸福な挑戦」ができる環境を整えること——それが私の最優先事項です。
一人ひとりの挑戦から生まれたコンテンツが、誰かの背中を少しだけ押し、明日の社会を良くする力に変わっていく。そんな温かい連鎖を積み重ね、誠実に、そして人間臭くサステナビリティ経営を推進してまいります。これからのTBSグループの挑戦に、どうぞご期待ください。
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