株式会社 TBSホールディングス常務取締役 CHRO 合田 隆信
7月にTBSホールディングスのCHROに就任した合田です。1990 年に入社し、バラエティ番組の制作と編成畑を長く歩んできました。
2020年にTBSホールディングスの執行役員に就任し、VISION2030 の策定に携わったのち、2022年からはTBSテレビで、編成、制作、スポーツ、情報制作、アナウンスセンター、プロモーションセンターなどを担当しました。
「人的資本経営」という言葉が昨今、頻繁に使われます。人材を資本として捉えて、その価値を最大限引き出すことによって、中長期的に企業価値を上げていくのだ、ということです。社外取締役の八木さんは著書の中で「人間ほど生産性の向上する経営資源はない」と書いていますが、これは印象的な表現です。今、いろいろな資本政策がある中で、一番伸ばせるのは人材であって、人材を育て、職場や環境を整えることで企業価値も上げることができるという考え方です。昔の日本の雇用制度や価値観の中では、職場、人材に対してそのように考えている企業はあまり無かったのではないかと思います。極端に言えば、駒として機能してくれれば良い、そこに大きな期待はしない、最低限これだけやって欲しいと。そういう考え方では人材も企業も成長しないのだということが今の時代では明白になりました。ましてTBSではクリエイティブの力こそがコア・エンジンです。人がどれだけ力を発揮できるのか、どれだけやる気になるのか、どれだけ面白いことを考えるのかということが成長の源泉になっています。人材の大切さを今一度見直す必要があるということにこそ、今回、CHROが創設され、私が就任した意味があると思っています。
ではどのように生産性を上げるのか。CHROとしてはTBSグループのコア・エンジンとなるクリエイティブの力を最大限追求していくことがその答えだと考えています。コンテンツを創る場面だけでなく、もっと幅広くバックオフィスも含めたあらゆる仕事において、アイディアを出し工夫をこらして、積極的に自分で考えて展開して欲しいと思っています。
私がクリエイティブの前線にいた時の経験を踏まえ、クリエイティブであるためにこんな職場であるべきだと考える条件が五つあります。
一つ目は、自由に自分の考えをどんどん遠慮なく言える雰囲気、心理的安全性が担保されている職場ですね。良いものを創るためにはハラスメントのない職場が必要、というのが二つ目。三つ目は、心身ともに健康であること。クリエイティブの基礎をなす上で非常に大事なことです。四つ目は失敗を恐れない、恐れさせない風土ですね。「失敗してもいいよ」と思えるような雰囲気づくりが大事です。そして五つ目は、なんでも面白がれる職場。仕事であるかどうかを問わず面白がれる心を育てることです。この五つが、私が考える「クリエイティブを育てる職場」で、そういう職場づくりをしていくことがCHROとして大事だと考えています。
この五つは「ウェルビーイングな職場」と言い換えることができます。私は、健全な職場にこそ健全なクリエイティブが宿ると思っています。楽しい雰囲気でないと楽しいものは創れないし、自由な雰囲気でなければ自由な取材活動も新しいビジネスの発想も生まれない。
ウェルビーイングとクリエイティブはセットだと考えています。TBS が「ホワイト500」に3年連続認定されたことは、放送事業を中核とした会社の中では珍しいと思われるかも知れませんが、これはすごく真っ当で誇って良いことだと思います。
こうしたことの大前提として大事にしたいのは、他者を認める気持ち、リスペクトの心です。急速にグループや業務内容が拡大している中で、分断されてバラバラにならないようにするために、CHROとしては、最低限、自分たちのグループ内で行われることについて関心を持とうよ、それから尊重しようよ、ということを言いたいと思います。自分はこう考えるけれどこの人はこう考えるのねと認める、これが私たちのグループでは非常に大きなテーマの一つだと思っています。私の好きな言葉で「正義の反対は悪ではなく、もう一方の正義である」というのがあります。二項対立的に捉えずに、お互いの価値観を認めた上で、議論をする、物事を進めていく、考えていくということが必要です。
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