会長・社外取締役鼎談 コーポレート・ガバナンス
佐々木 現場に行くと部長や局長よりプロデューサーの方が偉いんですよ。大体その人達は30代から40代なんですが、明らかに女性が増えています。
八木 私たちが緑山スタジオに行った時、女性のプロデューサーがワッ!と言うのに対してスタッフがみんなパン!と集まって、その方向性に従って動いていました。男女問わず力のある人をちゃんと使っているという姿を見せてもらった良い機会でした。上に対してもきちんと物が言える風土というのも良いですね。一般論としてはダイバーシティを促進して結果が出てくるまで3、4年かかると言われていますから、しっかりと時間をかけて見守って支援するプロセスが大事です。
問題が複雑化している時には多様な人がいた方が解決策も出てくるんです。同質化している集団は欠点も共有してしまうので物事が見えなくなりがちです。いろいろな人がいることの意味がじわりじわりと出て来ます。
佐々木 柔軟な働き方の提供という意味では、一旦TBSを辞めても5 年以内なら戻って来られる「ジョブリターン制度」があります。元々は夫が海外赴任になった女性社員が復帰できるようにと始まった制度ですが、例えば男性が他の外資系企業で働きたいということで辞めた後にまた戻って来たいと言うので受け入れた、という例もあり、好評です。
牧野 とても良いですね。会長に「辞めたい」と挨拶に行ったら「いつでも戻っておいで」と言われたという話も聞き、そういった家族のような価値観、温かさのようなものがTBSにはあるんだなと感じました。
八木 人的資本経営で大切なのは二つで、経営の戦略と人事の整合性が取れているかなんです。そこはCHROが新設されることでさらに良くなるのではないかと期待しています。また、少し違う観点から言うと、TBSはプロフェッショナルとして経験を積んだ人を他の分野で活かすということを社内でやっていますよね。社内のリソースを最大限いろいろなところで活用していこう、チャレンジしていこうということをやっているのが非常に良いと思います。
佐々木 社長や役員、リーダーシップを取る幹部に対する考え方で言うと、私たちは現在、報道やドラマ、バラエティーなどそれぞれの現場で頑張ってきた人間を、まだできるという年齢で引き剥がして幹部候補生にするということをやっています。例えば瀬戸口執行役員も、あのままドラマをまだ何本もつくれた段階でグローバルビジネスの分野に行ってもらうということをしました。阿部社長自身もバラエティーの分野で先頭を走ってきたプロデューサーでしたが、そういう人が一定の年齢で会社全体、グループ全体を見るリーダーとして勉強を始めて責任あるポジションに就く、ということをやっています。このようなリーダー育成の手法についてはどう思いますか。
八木 今のやり方でどんどんやられれば良いと思います。私は経営に必要なのはスキルではないと思っているので、TBSが目指すものを心から理解して想いがある人がポジションに就くことが大事です。あるビジネスで成功した秘訣をしっかりと言語化できている人は、他のビジネスの現場に行っても結構成功する、というケースを今まで見てきています。やっぱり、TBSというのは「最高の“時”」とか「明日の世界をつくる」とかを掲げているのですから、そういうことを本気で考えている人がキー・ポジションに就くことが大事だと思っています。
佐々木 最後に、これからのTBSに「厳しい注文」をお願いします。
牧野 良いところと悪いところは表裏一体です。TBSって家族のような会社だと言いましたが、それがちょっとぬるま湯になったり、ぶら下がっているような人がいたり、そういうことになってはいけないので、厳しくすべきところは厳しくという、バランスが必要だと思います。
八木 視聴率でTBSは伸び率が一番良くて頑張っていると思うのですが、二番であることで満足しないで欲しいですね。日本を、世界をどうしていくのか、まさに「最高の“時”で、明日の世界をつくる。」とブランドプロミスで言っているのだから、それ、本気でやりましょうよって思います。絶対にその志を忘れずに、歯を食いしばって世の中を良くしていく、そういう存在であり続けて欲しいと思います。
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